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まるてつの緩和病棟(PCU)徒然なるままに

肺ガン患者ですが、2021年に肺炎を発して入院生活となりました。身近な人への状況報告と、日々思うことを書いています。興味のある方はぜひご一読ください。

おばあちゃんがやっていた床屋

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中年男は鏡を覗くのが憂うつだ。

前髪が伸びない。前から上が薄くなった。

毎朝一度は見なくてはしょうがないのだが、できれば見たくはない。

行きつけの床屋さんが閉じてしまい、駅前の店で切ったが、二カ月から二カ月半には一度、もう20年近く通ったので、さびしい思いがした。

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20年前はお母さんだったが、母娘二人でやっていたお店に偶然入ってから、ずっとだった。

娘さんと言えども私より一回り年上で、ただ子どもの年は向こうが少し上ぐらいだったので、ママさんと子育て談義をするのが楽しみであった。

お母さん、年取ってからはおばあちゃんは腕は良い。ママさんよりもきれいに切ってくれるのだが、おばあちゃんは一方的にしゃべった。

私は子どものような年なので、聞くしかなかった。

ママさんと、話が出来るかと思いつつ行くと、だいたいおばあちゃんに捕まった。

後は髪を切ってくれるので、聞くしかないのである。

おばあちゃんには、今まで見たお客の中で、二番目に頭が大きいと、行く度に言われた。

おばあちゃんがラジオで聞いた話の感想、おばあちゃんの政治や世の中についての意見。

そして、おばあちゃんの歴史。

お金はこっちが払っているのだが、なぜかおばあちゃんの話を二カ月に一度、耳を傾けなければいけない。

不思議な時間だった。

最近はおばあちゃんが少し弱ってしまい、2年前の夏におばあちゃんに切ってもらったのが、おばあちゃんには最後に切ってもらったことになった。

ママさんが、おばあちゃんを見なくてはならなくなり、店は閉じてしまった。

駅前の別の店は、腕は良いのだが、そんなコミュニケーションは取れないので、

散髪も楽しみが減ってしまった。

とはいえど、前髪は伸びないのだが、サイドは伸びるので、床屋に行くしかない。

いつか、ママさんが店を再び開けてくれるのを淡く期待している。

それまでに、私の髪が無くならないように(苦笑)