文芸感想
おはようございます まるてつです。 昨日は日課が夕方に偏り、夕食後に息がしんどくなりましたが、痛み止めと鎮痛剤を早めに飲んで、眠ることができました。 今朝は曇り☁️で遠くが霧がかっていますが、穏やかで何よりです。 午前6:00現在、痛みはありません…
面白い短編を読んだ。荷風さんには申し訳ないが、小説が面白いのではなく、その設定があまりに身近だからである。 太平洋戦争の戦中、総武鉄道の船橋行きの車内、沿線でヤミの食料を運ぶ人達の描写から始まる。 船橋で警察の摘発があるらしいとの情報が流れ…
「近頃はさびしく感じられてしょうがないのです。さびしく感じてもよろしいのでしょうか、お師匠様」 「さびしいのが本当だよ、唯円。さびしいときはさびしがるよりしかたはないのだ。おまえのさびしさは対象によって癒されるさびしさだが、わたしのさびしさ…
若者は果たし合いのため、約束した広場へ行くが、気が立っていたのか、時間を間違えてしまい、家を出たときに一刻(2時間)分早く出てしまったことに気づく。 これでは凍えてしまう、と若者は川にかかる橋の下に火を見つけ、降りてゆく。 そこには、夫婦乞食と…
「俺は愚鈍の生まれつきだ。けれど愚鈍にはまた愚鈍で取得がある。『愚の努むるは、堪能の足らざるより善し』というじゃないか。おれは何事でも、ゆっくりと念をいれてやるのが好きだよ」 (愚鈍物語 新潮文庫 花匂う 山本周五郎著) 平山三之丞は家の直しを…
山本周五郎氏の短編に『桑の木物語』(新潮文庫)がある。 双子に生まれたため、舟宿に里子に出された悠ニ郎が、生家に戻され若君のご学友に上げられる。 祖父が名家老で粋な人だったので、舟宿に預けられるのだが、舟宿で下町のガキ大将が武家の生家に戻され…
山本周五郎氏に『おたふく物語』という短編の三部作がある。 『妹の縁談』『湯治』『おたふく』の独立した三つの短編が、『おたふく物語』という一つの長編を作りあげている。 構成自体に手が込んでいるように思えるが、作者はそのように書いたのではなく、…
江戸川の利根川との分岐にある水門。 関宿城そばの中之島公園にて 私には妙な癖がある。 まだ読んだことのない小説家の作品に入るときには、小説から入るのではなく、その小説家が書いたエッセイ集を先に読む。ひどい時は、エッセイしか読んでない場合も多い…