桜について・ソメイヨシノの背景
違う品種の桜
古来から「花」と言えばそれは梅であった。ちょっと忘れたが、それが梅から桜に代わった。桜の人気が高まったのだろう。ただ、今主流のソメイヨシノは作られたのが江戸時代で、比較的新しい品種である。古典で書かれた桜と今主流のソメイヨシノは花が違うと思ってもらって良い。
ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの掛け合わせで染井村で誕生し、人気のある吉野の桜にもあやかりましたと言うところが名前の由来である。
ただ、何を言われようとこの花が今、桜と言えば真っ先に皆のイメージにあるのは間違いないだろう。桜はソメイヨシノなのである。
端正な五弁の花形、薄い、しかしほどよく色が入る。花だけが先行して咲く。
成長が早い。花が密に咲く。長所が多い。
ただ、人気の秘密はそれだけではない。花が咲くときは揃って咲き、散る
のも揃って散るのだ。だから満開の時が見事なボリュームになる。しかし、なぜ咲くタイミングが揃うのか。
それは、ソメイヨシノが交配された品種であり、その良い性質を失わないために、ソメイヨシノから枝を取り、枝を挿して苗を作る「挿し木」という方法で数を増やしてきたからだ。種子によらない増やし方の一つで、元をたどれば私達も
染井村で作られた最初の木と同じ木を見ていると言ってもよい。
地域ごとにまとまって咲くから、桜前線なるものもできるし、一斉に咲くから開花日予想も重要なのだろう。
色々書いたが、この花が今の日本の「花」になったのは、さまざまな点が優れていて、美しい。そのように思われる。